高齢者の困りごとについて、どのようなイメージを思い浮かべますか?健康や生活など、さまざまなことが浮かぶかもしれません。
しかしながら、実態として、高齢者がどのようなことに困っているのか、知る機会は少ないのではないでしょうか。シニアマーケティングにおいては、高齢者の困りごとについて理解を深めておくことで、さまざまな戦略策定に役立ちます。そこで本記事では、高齢者の困りごとについて弊社が独自調査を行った結果をランキング形式で紹介します。その他、高齢者の困りごとをシニアビジネスに活かす具体例なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
高齢者が困っていることランキングを独自調査!シニアビジネスでの困りごとの活用例も解説のもくじ
高齢者が困っていることとは?
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本項ではまず、高齢者が困っていることについて具体例を交えつつ解説します。
健康に関する困りごと
高齢者が抱えている困りごととして、まず挙げられるの健康面です。内閣府が実施した令和4年度の「高齢者の健康に関する調査」では、「日常生活での活動状況」に関する調査結果を掲載しています。
具体的には上記データのなかで、「階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか?」という質問では、「している」と答えた層が55.7%いた一方で、「できるが、していない」(19.5%)、「できない」(20.9%)と、多くの高齢者が「手すりや壁をつたって階段の上り下りをせざるを得ない」状況にあることが分かっています。全体として、問題なく日常生活を送れている層は多いものの、「できない」と回答している層も一定の割合でみられました。
また、「健康長寿ネット」が掲載している調査結果では、“一人暮らしの高齢者の毎日の生活の不安について一番多かった答えは「健康や病気のこと(58.9%)」です。続いて、「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること(42.6%)」”という結果も出ています。
出典:健康長寿ネット
上記データから分かるとおり、病気・身体的な衰えにより、自身の日常生活に支障をきたしており、なおかつ今後に関しても不安を抱えている
収入面での不安
高齢者は収入面でも不安を抱えています。内閣府の「高齢者の経済生活に関する意識調査結果」では、「現在の暮らしに経済的に心配がある」とと、多くの高齢者が収入面での不安を抱えたまま生活していることが分かります。
就労層、非就労層問わず、高齢者の37.8%が、収入面の困りごと、不安を抱えていることが分かります。。
仕事に関する不安
高齢者は仕事面でも困りごと・不安を抱えています。
2022年にIndeed Japan株式会社がシニア世代に実施した意識調査では、50代~70代のシニア層のうち、58.3%が「働きたい」あるいは「働く必要がある」と回答しています。
その一方で、上記の回答をしたシニア層のうち、92.7%が働くことについて不安や課題を抱えていると回答を残しています。
多くのシニアが「働きたい」という意思を持っている一方で、「健康状態」や「気力」などの理由から、働くことに対して不安を抱えていることが分かります。
出典:Indeedが「シニア世代の就業」に関する意識調査を実施 50代~70代の約6割がシニア期も働く意欲・必要性を持つ一方で、9割以上が不安や課題あり
上記のように、高齢者は健康、収入、仕事など、さまざまなことで悩みや不安を抱えていることが分かります。
高齢者が困っていることを理解するのは何故重要?
高齢者の困っていることについて理解を深めておくことにより、シニアビジネスの戦略策定の材料とすることができます。
たとえばシニア向けの旅行ビジネスを立ち上げられるのは、前提として「シニア層の中には、余生を旅行などの趣味に費やし、謳歌したい層が多い」という潜在的なシニア層のニーズを理解しているからこそです。
このように、高齢者の抱えている不安・困っていることを知り、理解を深めておくことにより、高齢者の潜在的なニーズについて気づきを得るきっかけ作りができます。
シニアビジネスを企画・立案・実行するうえで、シニア層の困っていることについて知っておくことは重要です。
高齢者が困っていることのランキング結果とは
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本項では、弊社が高齢者を対象に「困っていること」に関するアンケート調査を行い、
結果をランキングにしたものを紹介していきます。
①生活の中で困っていることを教えてください
上記のグラフを見れば分かるように、高齢者層の困りごととして最も多かったのは「お金が足りない(47.1%)」でした。次いで「視力の衰え(39.2%)」、「足腰が弱っている(27.5%)」と、健康面での困りごとが続いていきます。
また、「仕事(9.8%)」と少なくない割合でランクインしており、このことから高齢者層が「収入」や「健康」、そして「仕事」に関して多くの不安を抱えていることが窺えます。
②最も困っていることを選んでください
前項で紹介した回答のうち、最も困っていることとして挙がったのはやはり「お金が足りない(約40%程度)」、次点で「筋力・歩行」、「視力の衰え」、「聴力の衰え」と健康に関する困りごとが続きます。
上記のグラフから、高齢者層が最も頭を悩ませている要素として「収入面」そして自身の「健康面」が一番の不安材料になっていることが分かるでしょう。
なお、弊社では上記の調査以外にも、さまざまなトピックで高齢者に向けて実施したアンケート調査結果を記事の中で紹介しています。興味がある場合はぜひ参考にしてください。
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シニアマーケティングにおける高齢者の困りごとの活用例
本項では、シニアマーケティングにおいて、高齢者の困りごとがどのように活用できるか、活用例を紹介します。
ペルソナ設定に活用する
高齢者の困りごとに関するデータは、自社の施策を策定する際のペルソナ設定に活用することができます。
たとえば、「60代・男性・スーパーの販売員として就業している」というペルソナよりも、「60代・男性・スーパーの販売員として働いているが、最近足腰の衰えを感じている」というペルソナの方が、得られる情報量が多くなります。
高齢者の不安や潜在的なニーズをペルソナに落とし込めるため、ニーズに基づいた施策の設計に役立つでしょう。
施策に落とし込む
高齢者の不安・困りごとを直接施策に落とし込む活用方法もあります。
たとえば、健康食品・健康器具を手掛けるメーカーが高齢者の「健康への不安」を軸に施策を組み立てていくのであれば、健康食品や器具をSNSや雑誌広告などを用いて訴求していく施策が考えられるでしょう。
訴求商材のターゲット層が抱えている不安・困りごとについて理解を深めておくことにより、その不安・困りごとを軸に施策展開していけるため、より高い訴求効果が期待できるといえるでしょう。
シニアマーケティングにおいて、高齢者の不安や困っていることをしっかりと把握し、さまざまな段階で施策に落とし込んでいくことで、効果の向上が見込めるでしょう。
まとめ
本記事では、高齢者の困っていることをランキング形式で紹介し、困っていることをシニアビジネスに活かす具体例なども紹介しました。さまざまな領域で困りごとを抱えている高齢者に対し、困りごとを解消できるようなビジネス展開を行うのはシニアビジネスにおいて重要です。ぜひ本記事のデータなどを参考に、自社の戦略策定に役立ててみてはいかがでしょうか。