世界保健機関(WHO)が定める「高齢者」は65歳以上。2023年の総務省の発表によると、日本には3600万人以上の高齢者がおり、高齢者人口の割合は35%を超えています。(参照:統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-) 近年、シニア層の増加に伴って、シニアマーケティングが注目を集めています。実際にどのようなターゲット層なのか、どのようなアプローチが有効なのかを解説します。

シニアマーケティング成功のポイントとは?シニア層の特徴も解説のもくじ

シニアの定義

日本人口のうち、3分の1は高齢者で構成されています。そのため、シニア市場を的確に捉えて効果的にアプローチすることは重要です。シニアマーケティングを考えるためには、シニアを知ることが必要です。

シニアの年代区分

 

シニアを指す年齢の定義は、地域や業界により変わりますが、一般的に先に挙げたWHOの定義を用います。WHOでは高齢者を65歳以上としていますが、更に以下のように分類可能です。

前期高齢者…65歳以上75歳未満
後期高齢者…75歳以上

ライフスタイルでの分類

シニアといっても、多種多様な状況にあるため、生活スタイルや身体的機能の状態、経済状況などの要因から以下のように大きく4つに分けて考えられます。

  1. ケアシニア:介護を必要とする層。非就労で年金が主な収入源。介護認定人口は2021年には690万人と報告されています。高齢者人口の18%程度を占めています。
  2. ギャップシニア:被介護状態にはないが、身体的に不安がある層。非就労で年金が主な収入源。介護予備軍と言われる層。880万人を超えると言われています。
  3. ディフェンシブシニア:健康な身体状況にある。非就労で年金が主な収入源。1150万人、高齢者人口の3割強を占める層。
  4.  アクティブシニア:健康な身体状況にある。就労しており年金以外にも収入源がある。健常で就労している高齢者は910万人と報告されています。

シニアマーケティングを考えるうえで、「シニア」という世代の捉え方や、一般的な分類について知っておくことは非常に重要です。シニア像を理解することにより、効果的なシニアマーケティングの実現に役立ちます。

シニアマーケティングはなぜ重要なのか?

出典:Freepik 社会的背景からシニアマーケティングは重要視されている(写真はイメージ)

シニアマーケティングとは、文字通りシニア層にターゲティングしたマーケティングを指す言葉です。

ではなぜ、シニアマーケティングが多くのビジネスシーンにおいて重要といわれるのでしょうか。本項では、シニアマーケティングが重要と言われる背景について解説します。

少子高齢化社会

少子化が進み、同時に高齢化(65歳以上の人口が7%以上になること)が進んだ日本の状態です。1990年の「1.57ショック」を境に日本政府も少子化対策を講じるようになりましたが改善の糸口は見えていません。

更に平均寿命が伸びた事により、高齢化が加速しました。1997年には65歳人口が0~14歳人口の総人口の割合を上回り、2018年には65歳人口割合が0~14歳人口割合の2.3倍となっています。
(参照:総務省統計局 )

拡大するシニア市場

統計から見てもわかるように、増加した高齢者人口は日本の総人口の3割となり、マーケットとしてのシニアの存在感が非常に大きくなっています。シニアの消費総額は100兆円規模にのぼり、2025年には101兆円を超えると見られています。
(参照:みずほ産業調査 高齢者向け市場P.3

シニア市場の競争激化

上述の統計では消費者の支出を大きく3つの産業に分類し、企業への参画を促すようレポートされています。3つの産業とは、「医療関連」「介護関連」「生活産業」です。それぞれが、医学の発展や、法制度の改革、またシニアの価値観の多様化により多角的に広がりを見せており、ますます市場規模は拡大しています。

例えば、「医療」分野の専門家と提携して自社の商品やサービスをシニア向けに開発する大企業や、シニアマーケット専門の広告代理店やサイト運営会社など、これまで参入していなかった企業や業界もシニア市場に注目しています。

このように、シニア層が人口に対して増えている点や、それに呼応してシニア市場が拡大しており、特定の業種・業界ではシニア市場をめぐる競争が激化していることから、 シニアマーケティングは重要です。

シニアマーケティングを成功させるポイント3選

出典:Freepik シニアマーケティングを成功させるポイントとは(写真はイメージ)

本項では、シニアマーケティングを成功に導くために意識すべき3つのポイントを紹介していきます。

ペルソナ設定を明確にする

先に挙げたようにシニアと言っても大きく4分類されます。その中でターゲットとして設定しやすいのはアクティブシニアといえるでしょう。

意欲的に新しい物事に取り組み、行動範囲も他のシニア層と比べて広く、また経済的な余裕もあることは、アクティブシニアが注目されている理由です。

また、ギャップシニアやディフェンシブシニアは人口割合が大きく、シニア人口の半数を占めるため大きなポテンシャルを抱えた層ともいえます。

いずれも、細部に渡りペルソナ設定をおこなう必要があり、明確なペルソナ設定なくしてはシニア市場での成功はないと考えるべきでしょう。

ペルソナに合わせた戦略設計をおこなう

明確なペルソナが設定できたら、実際にターゲットがどのような毎日を過ごしているのかを観察・分析する必要があります。そこには、シニアや高齢者といった言葉から思い描くステレオタイプからは離れた実像が見えてくるでしょう。人生100年時代を生きるシニア達は、これまでのシニア像と大きくかけ離れていると考え、それに合わせた広告戦略を実施しましょう。デジタルを使いこなし、フットワーク軽く生き生きと楽しむシニアに向けて、どのメディアで、どのような文言で訴求するかを徹底的に練り上げる必要があります。

オンラインメディアも有効活用する

令和2年の総務省の統計を見ると、60代以上の60%以上がネットを利用していることがわかります。(参照:総務省) そのため、Webメディアでの広告効果を期待することができます。オンラインメディアは、効果測定が行いやすく、細かくターゲット設定をした上での広告展開が可能です。戦略に合わせて有効活用しましょう。

テレビや新聞、雑誌広告などのマスメディアの利用も依然としてシニアの信頼が根強いメディアです。そのため、複数のメディアを組み合わせたマーケティングが求められます。メディアミックスの施作を活用して成功するマーケティングを実現させましょう。

シニアマーケティングを成功させるうえで、ペルソナの明確化とそれに合わせた戦略設計は不可欠です。 また、近年シニア層もインターネットを活用した情報収集を積極的におこなっていることから、メディアを複合的に活用したアプローチも重要なポイントといえるでしょう。

シニアマーケティングの成功事例

それでは本項では、実際にシニアマーケティングで成功を収めた事例を3つご紹介します。

アパサービス株式会社 様:タイアップ記事で ブランド認知向上

一つ目の事例はアパサービス株式会社の事例です。本事例では、便利なアパホテルを印象付けるため、タイアップ記事広告の掲出を施策としておこなっています。

その後、記事を閲覧したユーザーを対象にアンケート調査を実施した結果、アパホテルを利用した経験がないユーザーの82%が利用意向を示し、13%のユーザーが次回の旅行で利用したいと回答しました。ブランド認知度を向上させた事例といえるでしょう。

詳しい事例はこちら

株式会社わかさ生活 様:定期購入健康食品の販売促進

シニアマーケティングの成功事例として紹介するのは、株式会社わかさ生活の事例です。本事例ではSNS上にていきこうにゅうがたの健康サプリ商材をタイムライン・プッシュ通知広告掲出。広告内で負の解消や商品のお得感訴求をおこない、約1万PVを記録しました。

そこから商材のカートへの流入は約17.5%と、高い数値を記録しています。

詳しい事例はこちら

株式会社 キタムラ 様:クーポン提供による 来店促進施策

最後に紹介する事例は、カメラのキタムラで知られる株式会社キタムラの事例です。本事例では、同社のサービスである「スマホ個別教室」や「写真教室」の認知拡大施策をシニアに対し実施しました。

写真教室への遷移率が231%達成、投稿記事読了率307%を達成し、大成功を収めています。

詳しい事例はこちら

 

どの事例もターゲット層に向けた的確な記事コンテンツの提供など、継続的な取り組みによってシニアマーケティングで成功を収めています。短期的に成功を求めるのではなく、中長期的な視座を持って施策を実行に移すことが重要です。

シニアマーケティング成功のポイントとは?シニア層の特徴も解説のまとめ

この記事では、シニアマーケティングを始める上でのシニアの捉え方を解説しました。大きく4つに分けられる高齢者。大きな市場で魅了的ではありますが、そのペルソナを見極めないと全く見当違いの広告アプローチとなることも少なくありません。そのような結果とならないために、シニアマーケティングに長けたパートナーと組んで広告展開するのも一考です。弊社でもシニアマーケティングに関するお問合せを受け付けておりますので、もしシニアマーケティングに関することでお困りのことがあれば、ぜひお問合せください。

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