シニア世代の市場規模は、100兆円に到達するとも言われています。高齢者社会である日本において、今後ますますシニアマーケティングが重要視されています。 シニア世代の人口や動向を知り、シニア向けに訴求力の高い広告とは?そして有効な広告媒体について解説します。
シニアマーケティングに有効な広告媒体とは?シニア向け広告メディアのメリットなどを解説!のもくじ
シニア市場の規模と動向
出典:Freepikシニアマーケットは拡大を続けている (写真はイメージ)
はじめに、シニアについて詳しくみてみましょう。
シニアとは?
65歳以上の高齢者のことを指します。 2022年時点で日本の総人口1億2,471万人のうち、65歳以上の人口が3,627万人にのぼり、全体の29.1%を占めます。 (参考:総務省 高齢者の人口 )
シニアマーケットの動向
高齢者人口の増加に伴い、規模の拡大が見込まれます。その広がりは、2007年には62.9兆円だった市場規模が、2025年には100兆円を超えると予測されています。 (参考:みずほコーポレート銀行産業調査部『高齢者向けマーケット市場規模』)
高齢者が増加し、市場規模が拡大していることがわかりました。また、今後もまだまだ拡大の傾向にあり、ターゲットとして重要な位置を占めることは明確です。
シニアの分類とアクティブシニア
「シニア」という言葉には65歳以上から80代、100歳以上の人が含まれます。その中で4つに分類されるシニアとその中でも魅力的なターゲットとなるアクティブシニアについて解説します。
シニアの分類
シニアは以下の4つに分類されます。
- ケアシニア
- ギャップシニア
- ディフェンシブシニア
- アクティブシニア
上記4分類のうち、とりわけシニアマーケティングにおいて重要と位置付けられるのが、アクティブシニアです。
アクティブシニアの特徴
アクティブシニアとは、団塊世代を中心とする前期高齢者層を主に指します。
健康で経済的にも余裕があり、趣味や仕事にも活動的な点が特徴です。彼らは消費行動に積極的で、新しい価値観を受け入れやすい傾向があります。幅広い商材に興味を持つため、多様な商品やサービスを提供することが可能な層です。
また、スマートフォンやタブレットの利用率が高い点も見逃せません。
シニアは多様性に富んでおり、またその中でもアクティブシニアはシニアビジネスにおける魅力的なターゲットです。
では、アクティブシニアにはどのような広告媒体が訴求力を持つのでしょうか。
アクティブシニア向け広告メディアのメリットとデメリット
出典:Freepik アクティブシニア向けの広告メディアを選定しよう(写真はイメージ)
広告メディアには色々な種類がありますが、アクティブシニアに向けた広告メディアの特徴とメリット、デメリットを解説します。
マスメディア
アクティブシニア向けの広告メディアを紹介します。まずはマスメディアについてみてみましょう。
テレビ
総務省のデータ(参照:令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書)のを基にみてみましょう。
他の世代ではテレビの試聴時間が減少傾向にあることが報告されていますが、テレビ(リアルタイム)視聴は、年代が上がるとともに平均利用時間が長くなっています。
休日では60代のテレビ試聴時間は300分を大幅に超えており、テレビでの広告訴求はシニア層には効果的なアプローチといえます。
<メリット>
- 一度に多くの人に訴求できる
- 試聴番組や時間帯によってターゲット層を選定できる
- 会社に対する信用度が高まる
<デメリット>
- 広告費用が高額である
- シニア層は瞬間的な認知能力などに衰えがあるため、与える情報量が少なくなる
- 広告を浸透させるために繰り返し展開する必要がある
広範囲に訴求できる一方、コスト高となることは否めません。
また、シニア特有の事象として、見た瞬時に多くの情報を得ることが難しくなっているので狙った通りに広告効果が見込めるか、十分に検討する必要があります。
新聞
出典:公益財団法人 新聞通信調査会「第 13 回メディアに関する全国世論調査(2020年) 」P34
多くの高齢者は新聞を定期購読しており、毎日新聞を読むことは習慣づいています。
<メリット>
- 保存性が高く、いつでも読み返せる情報源である
- 繰り返しの広告効果や、広告内容の浸透が期待できる
- 新聞への信頼度の高さから、広告掲載企業へのロイヤリティも高くなる
- 地域に合わせた広告出稿が可能
<デメリット>
- 広告出稿料が高い
- 鮮度の高い広告を展開することが難しい
- 購読者が減少傾向にある
ラジオ
ラジオの聴取者数は減少傾向にあるとはいえ、聴取者には生活の一部としてラジオが浸透していることも多々あります。シニア層も長く聞き続けている番組を挙げる方が少なくありません。
<メリット>
- 地域や番組に合わせた広告展開がしやすい
<デメリット>
- シニア層には、与える情報量が少なくなる
以上のように、アクティブシニアとマスメディアは非常に相性が良いと言えます。ただ、それぞれデメリットもありますので、費用対効果などを含めて検討が必要です。
紙媒体
アクティブシニア向けの広告メディアを紹介します。 紙媒体についてみてみましょう。
雑誌広告
健康雑誌や趣味の雑誌など、ターゲットを絞り込みやすい媒体です。高齢者に好まれる雑誌に広告を掲載することで効果が期待できます。
<メリット>
- 購読者に合わせた広告展開が可能
- 文字やイラスト、写真を使い視認性の高い広告を出せる
- 保存性が高く、繰り返しの訴求効果が見込める
<デメリット>
- 誌面で埋もれてしまう、読み飛ばしも少なくない
- 同媒体には競合の広告も多く集まる
- 広告効果の高い雑誌媒体は、出稿料も高額になる
- 発行部数や、雑誌の数や種類が減少傾向
雑誌の読者層をターゲットとして設定できるため、ペルソナとリンクさせて広告を出稿できる点は大きな魅力です。ただ、なかなかターゲットの目を留めて実売に繋げる広告を展開することはハードルの高いものがあります。
折込チラシ・フリーペーパー
新聞とともに届けられる折込チラシは新聞とは違った効果が期待できます。また、いろいろな場所でもらえるフリーペーパーも広告主のターゲット層とマッチしている場合は効果が見込めます。
<メリット>
- 配布先に合わせた広告を掲載できる
- ターゲット層を絞り込みやすい
- 保存性が高い
<デメリット>
- 読み飛ばされる・廃棄される可能性
- 新聞購読者やフリーペーパーの配布先以外への訴求は難しい
会員誌
趣味や旅行など、アクティブシニアが興味を持つ対象の会員誌への広告掲載も、ターゲット層とマッチする場合には高い訴求効果を発揮します。
<メリット>
- 会員誌の内容と親和性のある広告を制作しやすい
- ターゲット層を絞り込みやすい
- 保存性が高い
<デメリット>
- ターゲットと会員のペルソナがマッチしない場合は効果を期待できない
- 人気の高い会員誌の広告は出稿料が高額
健康や旅行、また趣味のカメラや園芸など人気の高い会員誌は多く存在します。それらとマッチする商材を広告主が扱っている場合は、非常に有効な広告と言えるでしょう。
一方でコアなメディアでもあるので広告リアクションも小さなものとなるケースが多いです。
以上のように、アクティブシニアと紙媒体は親和性が高いと言えます。ただ、紙媒体自体が発行部数の減少や廃刊などで衰退している現状があるため、広告掲載については検討する必要があります。
Webメディア
アクティブシニア向けの広告メディアはどうでしょうか?まずはシニアのモバイル機器の利用率をみてみましょう。スマートフォンの利用率は60代を超えても85.9%と高い普及率であることがわかります。シニア層も日常的にスマートフォンやその他のデバイスに触れていることが分かります。
(出典;令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書/総務省情報通信政策研究所)
上記をはじめとするデータから、Webメディアがシニアマーケティングでも有効に活用できることがわかります。具体的にどのような広告があり、メリットとデメリットがあるのかをそれぞれ解説します。
Web広告
インターネットを日常的に使い、貴重な情報源としているシニアに向けて、Web広告は広告効果を期待できるメディアです。
<メリット>
- ターゲットを詳細に設定できる
- 鮮度の高い広告を展開できる
- 効果測定が可能
- 広告の修正や改善、リトライといった対策を迅速に実施できる
<デメリット>
- マス広告と比べると認知獲得に限界がある
- ターゲットのペルソナ設定がずれると効果を発揮しない
- シニア向けの広告デザインが求められる
- シニア向けのユーザビリティが求められる
- 紙媒体と比べると保存性が低い
詳細なペルソナ設定や、シニア向けの広告デザインなど、専門性の高い知識が必要となりますが、ターゲットに的確に訴求できた場合は高い広告効果が期待できます。
SNS広告
SNSを利用するシニアも増えており、LINEやMetaなどのメジャーなSNSから、シニアユーザーに向けたSNSなども近年は人気です。
<メリット>
- 趣味や属性に基づいた詳細なターゲット設定が可能
- 低コスト、コストコントロールが可能
- ユーザーによるSNS内での拡散効果が期待できる
- 広告修正や改善、リトライなど対策を迅速に実施できる
<デメリット>
- シニア向けの広告デザインが求められる
- 細かいターゲット設定が可能な反面、SNSとの相性の見極めが必要
- 紙媒体と比べると保存性が低い
以上のように、アクティブシニアへのマーケティング戦略としてWebメディアはメリットが大きいといえます。
ただ、それだけで広告戦略が完成するわけではなく、保存性の高いカタログや紙媒体との併用、または信頼性と広範囲への拡散が可能なマスメディアの利用など、各メディアと合わせての利用を検討することも必要です。
シニアマーケティングに有効な広告媒体とは?シニア向け広告メディアのメリットなどを解説!のまとめ
ここまで、シニアマーケティングにおける広告媒体について解説しました。
シニアと一括りにできない高齢者をターゲットするには、4つに分類されるシニアの特徴を把握し、ペルソナを細かく設定することが大切です。
また、購買意欲の高いアクティブシニアをターゲットに考えた時に、適切な広告媒体は何かについて細かく解説しました。
なお、シニアマーケティングについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
自社の製品やサービスにマッチするメディアを厳選して有効な広告訴求を行いましょう。
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