高齢者市場が拡大しつつあるなかで、高齢者向けの広告も重要になっています。 高齢者向け広告においても、効果測定を行い、改善に役立てていくことは不可欠です。 本記事では、高齢者向け広告の効果測定方法や、広告媒体の選定方法を解説します。
高齢者向け広告の効果測定方法とは?媒体の選定方法も解説 のもくじ
高齢者市場の重要性とは
出典:Freepik 高齢者市場は急速な広がりを見せている(写真はイメージ)
日本は現在、急速に高齢化が進んでおり、65歳以上の高齢者が全人口の約29.1% (参照:令和6年版高齢社会白書(全体版))を占めています。高齢化に伴う、高齢者の消費力に非常に注目が集まっています。
高齢者の消費についてもう少しデータを紐解いてみましょう。
・世帯構成;65歳以上の世帯主がいる世帯は全世帯の約44.7% です。
・消費支出:1か月あたりの高齢者世帯の平均消費支出は約21万1780円 で、全世帯平均の24万4231円に比べてやや少ないものの、依然として大きな消費力を持っています。
・貯蓄;65歳以上の世帯の貯蓄現在高の中央値は全世帯の1.4倍 となっており、経済的な余裕があることが示されています。
(参照:令和5年版消費者白書)
これらのデータからも、高齢者の消費力が非常に高く、社会経済において重要な役割を果たしていることがわかります。どの広告主にとってもシニア市場は無視できない存在となっています。
本項では、現代の広告戦略を考えるうえで、高齢者市場が重要となっていることを解説しました。
高齢者向けの広告媒体を選定する方法とは
高齢者層をターゲットにした広告を展開するには、適切な広告媒体を選定することが重要です。
シニア層ごとの違いを把握する
シニアとは一般的に65歳以上の人たちを指します(WHO定義)が、シニアという言葉一つで括るにはあまりにも幅広く、しっかりとターゲットを設定することが重要です。
シニア層は大きく以下のように4つに分類されます。
1:アクティブシニア:
特徴: 健康で活動的、金銭的に余裕があり、趣味や旅行などに積極的。
例: 定年後も趣味やボランティア活動に積極的に参加する人々。
2:ディフェンシブシニア:
特徴: 健康で自由に活動できるが、消費にはやや消極的。
例: 健康には問題ないが、収入が年金中心で消費を控える傾向がある人々。
3:ギャップシニア:
特徴: 健康状態や将来に不安を抱えているが、介護が必要な程度ではない。
例: 身体機能が衰えつつあり、生活に不便を感じるが、まだ自立している人々。
4:ケアシニア:
特徴: 介護や医療が必要な状態。
例: 家族やヘルパーの助けを借りながら生活している人々。
これらの4つのシニアの特徴を知り、理解することが、シニア層の多様なニーズやライフスタイルに合わせたサービスやサポートの提供に繋がります。
シニア層別の情報収集行動を理解する
1:アクティブシニア
シニアの中でも特にアクティブシニアは、インターネットの利用に積極的です。インターネットで日常的に情報を収集しています。SNSを使い情報を得るのみだけでなく、やり取りする場合も多いため、インターネットでの口コミに対す反響も見込めます。
ただ、アクティブシニアにとっては依然として紙媒体も大切です。特に新聞に対する信頼が高く、情報の正確性や安心感を抱いています。その他の紙媒体としては、雑誌や会員誌などがあります。
2:ディフェンシブシニア
この層の主な情報源はテレビやラジオといったマスメディアです。ニュースや情報番組など、昔からの習慣で視聴を続けているケースも多く、生活の一部となっていると言えます。
それと同じく、紙媒体である新聞や雑誌からの情報も重視する傾向にあります。スマートフォンの利用はアクティブシニアと変わらない普及率ではありますが、インターネットでの情報収集よりも従来のメディアを好む傾向にあります。
また、家蔵や友人からの口コミやアドバイスへの依存も低くはありません。知っている人からの情報に対する信頼感と安心感を大切にしています。
3:ギャップシニア
紙媒体からの情報収集に依存しているケースが多く見られます。特に地域の情報や催しのお知らせ、健康情報など、暮らしと密接に関わる情報を得ています。先のディフェンシブシニアと同様、家族や友人から直接得た口コミの情報やアドバイスを大切にする傾向があります。
4:ケアシニア
主にテレビやラジオから情報を得ています。ニュースや健康情報を得ているケースが多く見られます。また、家族やケアをしてくれる周りの人の意見に耳を傾け、情報源としているケースも考えられます。
ケアシニアに関しては、商品やサービスの購入を決定する決済者は本人でないケースも多分に考えられるので、決済者や医療・介護従事者などシニアを取り巻く人々へのアプローチも間接的にケアシニアの情報提供となります。
ターゲットとなるシニア層の信頼性が高い媒体を活用する
シニアの生活環境やインターネットやデバイスを使える能力によって、情報源に違いがあることがわかりました。それに基づいて新聞広告、雑誌広告、テレビ広告、ラジオ広告、デジタル広告などを使い分けることが必要となります。
それぞれの媒体には特性があり、高齢者の利用状況や信頼性が異なります。ターゲットとなるシニア層の情報収集行動を理解し、最適な媒体を選ぶことが、効果的に広告展開を進める鍵となります。
本項では、高齢者向けの広告を展開する際、媒体を選定するポイントを解説しました。
高齢者向け広告で注意すべきポイント
出典:Freepik 高齢者向け広告を展開する際は、いくつかのポイントに注意(写真はイメージ)
高齢者向けの広告戦略を展開する際、注意すべきポイントはどこにあるのでしょうか。
見やすいデザインにする
高齢者向けの広告デザインでは、いくつか注意する点があります。大きなポイントは以下の通りです。
- 文字の大きさ;加齢による視力の低下や、視野の狭窄が生じている場合が少なくないため。
- 色のコントラスト;加齢により色を識別する目の機能が衰えてくるため、色差が少ないと判別が難しくなります。例えばアプリ上のボタンや大切な文言などは背景の色とトーン差が少ないと見つけられない場合もあります。
- 簡潔なメッセージなどが重要:一度に処理することのできる情報量が若い頃と比べると少なくなります。そのため、簡潔な文言でページをデザインしましょう。また英語やカタカナ、専門用語などの使用を控え、なるべく平易で伝わりやすい言葉選びも大切です。
- 視認性を高めるために、画像やイラストを効果的に使用する:文字のみで構成されたページでは伝えたいことが伝わりにくく、ページの離脱率が高まります。そのため、要所には画像やイラストを挿入し、飽きさせないページ作りを心がけましょう。
適切な媒体を選定する
前述の通り、シニアの生活環境によって、情報源となるメディアは異なります。ターゲットに合わせて最適な広告媒体を選ぶことが、広告効果を高めます。また、いずれのシニア層も、一つのメディアだけでなく幾つかのメディアを組み合わせて広告展開することがお勧めです。
本項では、高齢者向け広告で注意すべきポイントを解説しました。
高齢者向けの広告の効果測定方法
高齢者向けの広告においても、効果測定を行って継続的な改善に役立てることは重要です。
クリック率(CTR)
CTRとは、インプレッション数(広告が表示された回数)に対して、どれだけクリックされたかの割合を示します。
式は、CTR=クリック数/インプレッション数×100となります。
CTRの高さは、広告がオーディエンスにとってクリックさせるほど魅力的かどうかの指標とも言えます。
シニアマーケティングにおいて、CTRの高い広告とは、シニアが関心のある内容で、視覚的にも適切であるということです。
コンバージョン率(CVR)
CVRは広告をクリックしたユーザーのうち、実際に広告の目的である行動(商品購入や資料請求、問い合わせなど)を取った割合を示します。CVRの高い広告とは、ユーザーがこちらの狙った行動を取るように促せている広告と言えます。
シニアマーケティングにおいてCVRの高さとは、内容やデザインがシニアにマッチしている上に、理解が容易で、商品購入や問い合わせへの誘導がわかりやすく簡単に構築されているかどうかということです。
リターン・オン・インベストメント(ROI)
ROI は、広告投下費用に対して得られた利益の割合を示します。ROIの高い広告とは、費用対効果に優れた広告であるということです。
シニアマーケティングにおいて、ROIの高い広告というのは、広告が効果的に作用していると言えます。そしてROIを継続的に追跡調査し、改善を試みることが広告施作においては非常に重要です。
本項では、高齢者向け広告の効果測定方法を紹介しました。
高齢者向け広告の効果測定方法とは?媒体の選定方法も解説のまとめ
本記事では、高齢者向け広告の効果想定方法や、媒体の選定方法などを解説しました。 なお、高齢者向け広告を含め、シニアマーケティングの展開に課題感を抱えている場合には、シニアマーケティングにおいて多数の実績を誇る弊社に是非ご相談ください。