シニア市場を「医療・医薬」「介護」「生活産業」の3事業と定義した場合、2025年には100兆円規模へと拡大するだろうと、 みずほコーポレート銀行産業調査部は見通しを出しています。 (参照:みずほコーポレート銀行産業調査部
 )

このような背景から、多くの企業にとって高齢者をターゲットとした広告宣伝は重要です。 しかしながら、実際シニア向けに広告を出稿しているものの、思ったような効果が得られていない企業も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではシニア向けに効果的な広告を出稿する方法について解説していきます。

高齢者向けの広告を効果的に展開するためのポイントのもくじ

高齢者市場の特徴

出典:photoAC シニアにもさまざまなライフスタイルがある(写真はイメージ)

シニアと言っても65歳と89歳では健康状態、経済状態、ライフスタイルや思考は異なります。 そのため、どの層をターゲットにするかによって、広告の展開方法も異なります。

次項では高齢者市場(シニア市場)の特徴について解説します。

高齢者・シニア市場の4つの分類

国際連合のWHO(世界保険機関)では「シニア」の定義を65歳以上と定義していますが、シニア市場を考えるにあたり、下記のように4つに分類されます。

  1. ケアシニア
  2. ギャップシニア
  3. ディフェンシブシニア
  4. アクティブシニア

上記4分類は健康状態や経済状況によるカテゴライズです。

それぞれの層に向けた広告媒体

それぞれのペルソナに向けて、適した広告媒体を見てみましょう。

ケアシニア:自身で消費活動は難しい状況にあることが多い層

家族や後見人が代わってサービスや商品を購入する場合が多く、主に医療、福祉用品など保険対象商品を購入する場合は、ケアマネージャーや福祉用具相談員といった介護従事者からの情報提供が主となります。

広告としては、マスメディアへの接触が多いですが、その他には介護関連施設や医療機関に置かれている会報誌、機関誌、専門雑誌などへの広告も効果的です。特に、家族や購入決定者へのアプローチや、医師、看護師、ケアマネージャーや福祉用具相談員といったプロへのアプローチが直接的な購入に繋がるケースもあります。

ギャップシニア:身体的な衰えがあり、外出の機会が少ない層

自宅にてテレビや新聞、ラジオといったマスメディアの視聴を好む傾向にあります。同居家族や近隣住民との交流がメインですが、シニアのスマホ所有率は年々上昇しており、60代では9割を超え、70代でも8割近い普及率との調査報告もあがっています。

(2023年 NTTドコモモバイル研究所調べ

このような背景から、ギャップシニアの中にもスマートフォンの利用者は多く、Web広告はダイレクトにアプローチできる広告メディアといえます。

ディフェンシブシニア:健康であり、非就労の層

身体的にも時間的にも余裕があるため、自由度の高い生活を送っています。しかしながら収入源は年金に頼っており、就労層と比べると経済的な自由度は制限されるのが特徴です。


ギャップシニアと同じく、ディフェンシブシニアはマスメディアとWeb広告は効果が見込まれる層だと考えられます。また、家族と同居しているケースに於いては、家族からの紹介で商品購入を決定するケースも少なくありません。ディフェンシブシニアを取り巻く家族世代へのアプローチも有効で、その際にはシニア本人と共有できる紙媒体(チラシやカタログ)といったメディアも重宝されます。

アクティブシニア:健康意識が高く活動的な就労者層

積極的に趣味や仕事に携わり、社会との関わりも最も多いシニア層です。そのため、マスメディアはもちろん、スマートデバイスを使用したWebメディアやSNS広告のターゲットとされています。アクティブシニアは情報収集にも意欲的なため、あらゆるメディアのターゲットとなり得ます。視覚的効果の高いWebメディアと、情報を補完するための雑誌やカタログなどクロスメディアで訴求効果を高めることが可能です。セミナーやイベントへの参加も見込まれます。

このように、シニア市場への広告展開はターゲットとする層を把握することが成功への第一歩です。 ターゲットや決済者を見極めてから広告展開をスタートしましょう。

高齢者向けの代表的な広告媒体

出典:photoAC スマホで広告を見ているシニア夫婦(写真はイメージ)

本項では、高齢者向けの代表的な広告媒体について解説します。

テレビ・ラジオ広告

テレビは今でも高齢者の情報源の主流といえます。特に他の年齢層の視聴の少ない日中帯は、高齢者をターゲットとしたCMを効果的に展開可能です。また、ラジオも変わらず人気のメディアです。特に、長寿番組は番組の色も濃く、聴取者の好みも明確なため、適した広告を展開することが可能です。

新聞広告

新聞も、テレビと並び高齢者が情報を得るためのツールとして人気です。新聞の購買率は、高齢者が全世代の中でトップとなっています。 (引用元:公益財団法人 新聞通信調査会「第 13 回メディアに関する全国世論調査(2020年) 」P30)

新聞は気になった箇所を切り取るなどして、手元に必要な部分だけを残すことが可能です。そのため、掲載から時間が経過してからも広告への問い合わせや注文が入ることも多くあります。

雑誌広告

雑誌は特定の分野をテーマに刊行されるため、特定の読者が見込まれます。また、保存性のあるメディアなので気になる記事や内容に関しては何度も読み返すことが可能です。繰り返し読むことにより、広告も目に止まる機会が高くなるため、訴求する回数も多くなります。

会員誌・チラシ広告

会員誌も専門性が高いため、ターゲットを特定しやすいメディアです。アクティブシニア層に購読されている誌面への広告出稿によりピンポイントで効果的な展開が可能です。ここでも保存性や信頼性の高さをうまく利用して広告効果を高めることが可能です。

Web広告

コロナ禍の影響もあり、多くのアクティブシニアがオンラインで情報収集するようになりました。スマートフォンやタブレットのシニア層への普及も進み、今後ますますWeb媒体でのアクティブシニア向けの広告訴求は期待が持てるでしょう。

家族からの紹介

家族と心理的にも物理的にも距離が近い高齢者には、家族からの紹介が効果的です。「安心」「安全」「健康」などのキーワードで、商品やサービスを見つけて親世代に勧める家族は少なくありません。家族からの紹介であれば不安感や警戒感が少なく購買に繋がるケースが多いでしょう。購入決定をするのが家族であるケースもあります。

以上のように、シニア向けの広告媒体は複数あります。

効果的に高齢者向けに広告を展開する方法

出典:photoAC 広告でシニアにアプローチをかけるさまざまな方法(写真はイメージ)

前項の各メディアの特徴を踏まえ、高齢者向けに最適なアプローチ方法を解説します。

テレビ・ラジオ広告

高齢者にとって、テレビ・ラジオは情報源としていまだに大きな力を持っています。また、テレビCMを出せる企業に対しての信頼度が比較的高い点も特徴です。

このように、テレビ・ラジオ広告を使ったアプローチはメディア自体への信頼性の高さから、商品やサービスのみならず、企業自身への信頼感も得ることにも繋がるでしょう。

新聞広告

新聞は信頼度が高いメディアとなるため、掲載されている情報も信頼されやすいと言えます。また、紙面では高齢者向けの特集や記事が多く、広告が刺さりやすい媒体といえるでしょう。

介護特集やシニア向けの読み物など、シニアをメインターゲットとした頁をうまく利用して広告出稿をしましょう。

雑誌広告

雑誌広告はテレビや新聞よりもターゲット層を絞り込みやすい自社商品やサービスに合うか見極めやすいメディアです。

定期購読者が一定数見込めるため、定番商品の紹介に向いています。また、雑誌自体保存して繰り返し読まれる媒体のため、時間が経過してからの問い合わせや購入を期待できます。

会員誌・チラシ広告

会員誌やチラシ広告の特

徴としては以下の点が挙げられます。

 

  • 保存性が高い
    会員誌やチラシも雑誌と同じく保存性に加えて携帯性が高いため、高齢者とのコンタクトに繋がりやすいメディアです。

特に会員誌はペルソナが明確なため、親和性の高い広告出稿先か見極めることが比較的容易といえます。

Web広告

一方、Web広告の特徴は以下の点を参考にしてください。

・シニアのスマートフォン所有率が非常に高い
NTTドコモ モバイル研究所の行った調査によると関東に住む60代のスマートフォン所有率は2023年には93%に達したことがわかります。また70代でも79%の所有率となり、前年比で9ポイントアップと高い上昇率を見せています。この結果からも今やスマートフォンが高齢者の中でも大きな情報源となっていることがわかります。(参照:モバイル社会研究所:70代のスマホ所有さらに上昇し8割

以上のように、広告媒体によって適切なアプローチの方法は変わります。

高齢者向けに効果的なクロスメディア戦略

シニアのライフスタイルを踏まえた上で効果を発揮するクロスメディア3つの具体例をご紹介します。

テレビ×チラシ広告

テレビ広告は一度に多くの方に訴求できるという大きなメリットがありますが、広告効果を測定するのが難しいメディアです。

放映される地域や時間によって、チラシを配布して、広告効果を高めるのが有効です。テレビCMで視覚的に大きなインパクトを与えたのちに、詳細の説明や、コンタクト先を記したチラシを配布することができれば、一過性の視覚的情報を捕捉して、より購買行動へと結びつけることが可能です。

新聞広告×SNS広告

新聞広告はその信頼性の高さを生かすことが賢明です。SNS広告は新聞と比べると安価で出すことが可能ですが、さまざまな情報の中で埋もれてしまい、実際に購入に繋げることが難しいケースがあります。

その場合、信頼性の高い新聞広告と組み合わせて広告展開することにより、高齢者の安心感を得ることが購入に繋がります。また、新聞の保存性の高さも侮れず、SNS広告はスマートフォンの画面で流れていく中、新聞広告で詳細情報を見て、問い合わせや購入に至るケースも少なくありません。

ラジオ広告×会員誌

ラジオと会員誌は、それぞれがニッチな層に対するメディアと言えるでしょう。その両方を掛け合わせることにより、深く興味を持つ層や、ファンを獲得することが可能となります。
ラジオ広告はどうしても一過性のものとなってしまうため、関連する情報誌や会員誌などに広告を掲載して、コンタクト先や商品の詳細を伝えることがフォローアップとなります。

以上のように、マスメディアと紙媒体のミックスや、新聞とデジタル広告との合わせ技など、訴求力を高めるためにはクロスメディアが有効です。

高齢者向けの広告を効果的に展開するためのまとめ

シニア広告に効果的なメディアの選び方を解説しました。 高齢者向けに広告を出稿する場合、ライフスタイルにマッチするメディアを選ぶことが大切です。 高齢者向けに効果的な広告を展開したいとお考えの際は、弊社でもシニアマーケティングに関するご相談を受け付けておりますので、もしお困りのことがあれば、ぜひお問合せください。

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