アクティブシニアはシニアマーケティングにおいて重要なターゲットとなるシニア層です。シニアマーケティングを成功させるうえで、アクティブシニアへの理解は欠かせない要素といえるでしょう。 本記事では、アクティブシニアマーケティングを成功させるポイントなどを解説します。
アクティブシニアマーケティングの成功戦略とは?最新トレンドも紹介 のもくじ
アクティブシニアとは?
出典:Freepik アクティブシニアとはどのようなシニア層?(写真はイメージ)
「アクティブシニア」という言葉はよく耳にすることがありますが、実際にはどのような人々のことを指すのでしょうか。本項ではアクティブシニアの定義を解説します。また、その他のシニア層との違いを知り、理解を深めましょう。
アクティブシニアの定義
「高齢者」「シニア」とは、WHOが定めた基準で65歳以上の人々と定義されています。アクティブシニアという明確な定義付けがあるわけではありませんが、年齢的には75歳くらいまでの前期高齢者を指すことが多く、意欲的に趣味や仕事を楽しみ、健康意識や自立意識を高く持っているシニア層のことを指します。
アクティブシニアの人々は社会との積極的な繋がりを持ち、趣味やスポーツ、仕事やボランティア活動などを通して、充実した生涯を送ることを楽しんでいます。
総務省は 2030年の65歳以上の高齢者人口のうち介護が不要な高齢者は8割以上を占めると予測しています。また、内閣府の平成24年(2012年)の調査 では3割の高齢者が働けるうちはいつまでも働きたいと答えているとのデータを発表(出典:高齢者の健康に関する意識調査結果)しています。
上述の総務省のレポートは、「65歳以上の高齢者を「高齢者は身体機能や認知機能が低下する」といった既成概念で括ることは適切ではなく、個々人によって状況は異なっている。」(出典:変わる高齢者像 -アクティブシニアの出現-)と述べており、今後のアクティブシニアの増加を念頭に置いた施作がどの場面においても重要であることを示唆しています。
本項では、アクティブシニアの定義について解説しました。
アクティブシニアの特徴とは?
出典:Freepik アクティブシニアは健康意識や消費意欲の高さが特徴(写真はイメージ)
アクティブシニアに向けたマーケティングについて考える前に、まずアクティブシニアの特徴を捉えておくことは重要です。本項では、アクティブシニアの特徴について解説します。
健康意識
人生100年時代に生きる現代の高齢者は、運動や食事によって健康的な生活を維持したいという意識が高い傾向にあります。
「できることは自分でやりたい」「子や周りの人たちに迷惑をかけたくない」「健康寿命を伸ばしたい」との気持ちも強く、健康に関する情報やグッズを積極的に取り入れます。スポーツジムの利用が多いのもこの層の特徴です。
また、健康に心がけている人は社会活動にも積極的で、生きがいを感じていることが内閣府の調査(参照: 令和5年版高齢社会白書(全体版)) でもわかっています。
このような点から、「健康」「予防介護」「自立」といったキーワードの訴求が効果的でしょう。
消費意欲
アクティブシニア層には時間的にも金銭的にも余裕があり、それらを有意義に使いたいという傾向が見られます。年金だけの収入に頼るのではなく、これまでの蓄えや資産に加えて、就労による収入がある方も多くいます。また、消費傾向としては特に「旅行」「趣味」「健康」に積極的にお金をかける傾向が見られます。
シニアをターゲットにした「旅行」「趣味」「推し活」「コミュニティ」といったキーワードでの訴求が考えられます。
アクティブなライフスタイル
アクティブシニアのライフスタイルは多様化しています。定年を過ぎて、これまで割けなかった時間やお金を費やして旅行を楽しむ方や、新たな趣味を開始する方、まだ現役で仕事を続ける方など、生きがいを見つけ、自分の人生を充実させることが重要と考えているからです。
また新しい価値観を知ることにも積極的です。情報収集はインターネットを駆使し、スマートフォンやタブレットを使いこなし、新しい世界、新しいコミュニティとコンタクトを図ります。
本項では、アクティブシニアの特徴について解説しました。
アクティブシニアの消費動向
アクティブシニアのマーケティングを成功させるためには、まず消費動向について探っていく必要があります。
旅行・レジャー
観光庁の調査(参照:旅行・観光消費動向調査)によると、以下のような結果が見られました。
旅行・観光消費動向調査(2023年統計より、観光・レクリエーション旅行の結果)
国内旅行
| 旅行平均回数(回/人) | 旅行単価(円/人回) |
40代(男性/女性) | 1.3517 / 1.4431 | 72,332 / 77,793 |
50代(男性/女性) | 1.3745 / 1.4160 | 80,502 / 70,484 |
60代(男性/女性) | 1.3362 / 1.4802 | 80,120 / 77,035 |
国内日帰り旅行
| 旅行平均回数(回/人) | 旅行単価(円/人回) |
40代(男性/女性) | 1.3973 / 1.2647 | 19,397 / 20,916 |
50代(男性/女性) | 1.5816 / 1.6119 | 19,665 / 201,64 |
60代(男性/女性) | 1.3793 / 1.3246 | 20,509 / 20,184 |
海外旅行
| 旅行平均回数(回/人) | 旅行単価(円/人回 |
40代(男性/女性) | 0.0353 / 0.0450 | 302,621 / 188,794 |
50代(男性/女性) | 0.0634 / 0.0688 | 307,213 / 277,774 |
60代(男性/女性) | 0.0712 / 0.0601 | 388,945 / 452,552 |
これらのデータから、日帰り旅は、プレ・アクティブシニアである50代が多く楽しんでいますが、旅行単価が男女ともに高いのは60代です。
また、宿泊を伴う国内、海外旅行を60代のシニアも男女ともに楽しんでいることがわかり、特に旅行単価の高さが他の年代と比べて突出しています。ここからも自由になるお金と時間があることがわかります。
近年はレジャーやレクリエーションというだけでなく、旅先で語学や文化を学ぶシニアも増えています。
健康食品
多くのシニアが定期的に健康食品を摂取しています。あるデータによると、60歳以上の男女で、サプリメントを摂取している割合は41%と報告されています。
またその目的としては健康維持が75.4%と高く、ダイエットや美容といった目的よりも健康を意識していることがわかります。サプリメントだけでなく、納豆やヨーグルトといった発酵食品や栄養ドリンクをといった食品を加えると、ほぼ毎日摂取しているシニアも多くいます。
健康食品を摂るもう一つの理由は病気予防が挙げられます。先述の調査の中で将来不安な健康の問題として挙げられた認知症やがんを予防するための健康食品を積極的に摂取する傾向にあります。
趣味関連
アクティブシニアの消費動向において、非常に重要な要素なのが趣味関連の支出です。シニアの多くは退職後の時間を有効に活用し、趣味や新しい活動に費やしたいと考えています。
総務省が実施している「社会生活基本調査」(令和3年) によると、アクティブシニアに人気の趣味には以下のようなものがあります。
- 旅行: 先述の旅行が最も人気です。
- 園芸: ガーデニングや家庭菜園などの園芸も楽しむ人が多く、らくらくコミュニティの中でも活発な情報交換が行われています。
- スポーツ:ウォーキングや水泳、ジムでのトレーニングやゴルフ、またフラダンスなどを始めるシニアが多く見られ、自身の体力や運動能力に合わせて様々なスポーツが取り入れられています。
- 手芸: 編み物や裁縫などの手芸活動も人気です。手先を動かすことは認知症予防につながるとも言われているため、楽しみと予防介護を兼ね備えた趣味としても人気です。
アクティブシニアマーケティングを成功させるポイント3選
本項では、アクティブシニアに向けたマーケティングを成功させる3つのポイントを解説します。
アクティブシニアのペルソナ設定をしっかり行う
これまで述べてきたアクティブシニアの様子から、多様なシニア像があることがわかりました。そのため、「65-75歳の健康なシニア」というペルソナ設定だけでは不十分です。
ペルソナを設定する際には、5W1H(誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように)を意識して詳細な設定を行うことが重要です。
そのためには計画的な仮説設定、リサーチ、分析を繰り返すことが必要となります。
また、そのような経験値の高い企業とマーケティングを行うことがお勧めです。
アクティブシニアのトレンドを理解する
これまでに挙げてきた「健康志向」「自己実現」「趣味と旅行」と合わせて「社会貢献」や「デジタル活用」も新しい情報やデバイスにも積極的に触れたいと思うシニアの人々の最近のトレンドです。
情報収集を活発に行うアクティブシニアは世界情勢や社会事情にも敏感に影響を受けます。例えば物価が上昇している昨今であれば、投資関連情報の注目度が高くなります。シニアの資産に関する傾向は、積極的に運用して増やすタイプよりもリスクを排除して、今ある資産を保持することが目的となるものです。
アクティブシニアにマッチした媒体を活用する
アクティブシニアにマッチした媒体を活用することも重要なポイントです。デジタル化が進み、Web上でのアプローチも非常に有効ではありますが、依然として紙媒体の需要が高く、Web広告やSNSとチラシや雑誌、会員誌などの紙媒体と組み合わせたPRが効果的です。
またテレビや新聞、ラジオといったマスメディアが根強い人気と信頼性を保っている点もシニアマーケティングでは必ず考慮すべきポイントです。
自社の製品やサービスと、ターゲットに設定したペルソナ、また社会情勢の3つのポイントを加味したアプローチ方法を探りましょう。
アクティブシニアマーケティングの最新トレンドとは
続いて本項では、アクティブシニアに向けたマーケティングの最新トレンドをいくつかトピック別に解説します。
デジタルマーケティングの活用
総務省の「情報通信白書」によると、シニアのインターネット利用率は年々増加しており、特に60歳以上の層でスマートフォンの普及が進んでいます。またECサイトの利用状況も増加傾向にあり、Webマーケティングの成功がシニアマーケティングの成功の鍵を握るとも言えます。
一方、シニア特有の理由から、デジタルマーケティングにおいての注意点があるので適切なマーケティング施作を取りましょう。
コミュニティをベースにしたマーケティング
アクティブシニアをターゲットにしたコミュニティベースのマーケティングも有効です。オンラインプラットフォームを活用し、シニアが関心を持つテーマに基づいて構築されたコミュニティ内で、シニア達が活発にやり取りする例が見られます。
興味のあるテーマについて、新しい友人を作り、オンライン(またはリアルでも)お互いの情報を投稿したりコメントしたりする作業は、シニアの新しい世界を広げることに繋がります。
パーソナライズされたサービス提供
デジタルに強いシニアが増えてきたとはいえ、やはり個人情報の漏洩の問題や安全性に対する不安を持つシニアも少なくありません。シニアが不安を感じることを減らせるように、安全性の高いサービスを提供することも大切です。
また、各々が必要な情報や見たい記事を選んで個人的に使いやすいサービスに組み替えることができるなど、個人の好みや必要性に合わせてサービスを提供することもアクティブシニアに対するマーケティングに於いて必要なことと言えます。
SNSなどにも関心のあるアクティブシニアに対しては、デジタルマーケティングやコミュニティをベースとしたマーケティング施策が有効です。また、パーソナライズされたサービス提供も、アクティブシニアの支持を集めるトピックの一つといえます。
アクティブシニアマーケティングの成功戦略とは?最新トレンドも紹介のまとめ
本記事では、アクティブシニアに向けたマーケティングのポイントなどを解説しました。なお、シニアマーケティングの展開に課題感を抱えている場合には、シニアマーケティングにおいて多数の実績を誇る弊社に是非ご相談ください。