シニア向けビジネスの現状と市場規模とは

シニア向けビジネスの市場規模

出典:Unsplash シニア向けビジネスの市場規模は急激に加速している(写真はイメージ)

高齢化社会の進展に伴い、シニア向けビジネスの市場規模は拡大しています。 拡大する理由をそれぞれ見ていきましょう。

シニア市場のニーズは高い

高齢者の人口増加により、シニア関連市場は医療・介護サービスからライフスタイル関連サービスまでと多岐にわたるニーズが生まれています。 使える時間や資金に余裕のあるシニアは、使いやすいサービスはどんどん取り入れていきたいという意欲も持ち合わせているため、今後もシニア市場のニーズは大きく加速を見せるでしょう。

シニア市場の規模

みずほ銀行産業調査部の調べによると、65歳以上の高齢者向け市場の規模は101兆3000億円まで増加すると予測されています。

社会の急速な高齢化に伴い、市場規模もさらに拡大する見込みです。 また高齢者の中でも女性は長寿傾向があるため、同市場にはシニア女性をターゲットとしたビジネスやサービスを展開していく企業が増加するでしょう。 市場規模の拡大は今後も続くと予測されており、早期に参入することが競争優位を築くための鍵となります。

参考:みずほ銀行「みずほ産業調査 Vol.39 3.高齢者向け市場」

シニア層の特徴と関心とは?

本項ではシニア層の特徴とニーズを詳しく解説します。 シニア層が持つ価値観や信条の傾向をしっかり探り、ビジネスに活かす必要があります。シニア層の考えに対する理解を深め、高齢者の共感を得ることがビジネス成功のカギになるといえるでしょう。

シニア層のライフスタイルと価値観

シニア層は他の世代と異なるライフスタイルと価値観を持っています。 アクティブシニアと呼ばれるシニア層は、年齢に縛られることなく他世代との交流を求めています。また、家族やコミュニティとのつながりを大切にするのはもちろん、日常生活の中で快適さを求める傾向にあります。 新しい情報や技術、製品に興味を持ってはいますが、提供企業の信頼性や実績を重視している方が多く、新会社の新しいサービスよりも信頼がおける企業が提供する新サービスの方を好みます。

これらの価値観を深く理解したサービスを提供することで、アクティブシニア向けビジネスを始める糸口がつかめます。

健康志向と安心安全への関心

多くのシニア層は健康志向が強く、安心と安全を求める傾向にあります。 特にギャップシニアと呼ばれる理想と現実のギャップや自分の健康状態などに不安を覚えている層は、健康維持として運動や食事に気を遣うほか、医療サービスや介護サービスに高い期待を持っています。 そのため、日常生活において安心感を提供するサービスや製品には高い需要があるでしょう。

新しい体験、学びへの興味

シニア層は現代社会における新たな体験や学びに興味を抱いています。 退職後の余暇を充実させるために、旅行や趣味、学習に積極的に取り組むシニアが増加しており、そのニーズに応じた旅行プランやカルチャースクール、オンライン講座などのサービスが人気です。 新しい体験を提供することが、シニア層の満足度を高めるポイントとなります。

デジタルテクノロジーの活用

シニア層の中には、パソコンやインターネットの使い方に苦手意識を持つ方が少なくないですが、デジタルテクノロジーをうまく活用したいと思っているシニア層の方々も多いです。 特にスマートフォンやタブレットの普及により、シニア世代でもインターネットを活用する人が増えています。 そのためデジタルテクノロジー活用を支援するようなサポートや、デバイスの使いやすさ・簡便さをアピールする商品は人気が高くなるでしょう。

シンプルで使いやすいデジタルサービスの提供は、シニア層の生活の質を向上させる一助となります。 上記4つの特徴や関心をおさえて、シニアビジネスを成功に導きましょう。

シニア向けビジネスの成功例

本項では、シニア向けビジネスにおいて成功を収めた事例を3つご紹介します。

成功事例①:冷凍食品の製品リニューアル

日本冷凍食品協会の調べによると、シニア層の3人に1人が冷凍食品を週一で使用しているという結果が判明しました。

冷凍食品は調理が簡単で必要な分だけ調理できるところや、生ゴミが出ないことなどシニアの生活様式にマッチしていると予想されています。 ある冷凍食品メーカーでは、シニア層に向けた製品リニューアルを実施し、シニア層の需要を受けて、従来よりもやわらかく噛みやすい食感の商品や栄養成分を補える商品などを展開しています。

参照:日本冷凍食品協会「60代の男女1,000人に聞く、 シニア世代の食生活意識と実態調査」

成功事例②:オンライン登録型コミュニティの設立

朝日新聞ではシニア向けのオンライン登録型コミュニティを設立し、イベントやセミナーが楽しめる場を提供しています。 社会に貢献したい、自分の意見をもってディスカッションに取り組みたいという積極的なシニア層が集まり、現在では1万人以上もの登録者が集いました。

出典:シニアライフ総研「第36回 朝日新聞社」

成功事例③:宅食サービスによって高齢者の体調を管理・共有

ワタミの宅食では高齢者の体調変化を配達時に観察する宅食サービスを展開しています。食事を届けた際の様子を、離れて暮らす家族にアプリで共有してくれるため、安心感があるといった観点から利用者が増加しました。同企業はLINEの運用にも注力しており、公式アカウント登録者数は5600人を超えています。 LINEは高齢者もよく活用するアプリのひとつであるため、デジタルテクノロジーの活用がシニア向けビジネスの功を奏した一例といえるでしょう。

出典:「ワタミの宅食」、LINE登録者が5600人超 会員を2種類にする理由

成功例から学ぶことで、新たなビジネスのアイデアや戦略が見えてくるでしょう。 これから高齢者向け市場に参画するという方はぜひ参考にしてみてください。

新規参入のためのビジネスアイデア

本項では、実際にシニアマーケットに新規参入するためのアイデアを紹介します。 リハビリサービスやシニアの趣味に関連するサービスなどの需要が高いため、その2点に絞って詳しく見ていきましょう。

健康関連商材・サービス

シニア層は健康に対する意識が高いため、健康に関連する商材・サービスは需要が高いでしょう。 しかし東京都民を対象にした調査によると、健康への意識が高いにも関わらず、全体の約4割が「健康食品は購入したくない」と答えている結果があります。 シニア層は信頼のおけるサービスや商材を欲しているため、健康食品でビジネスに参入する際は有名な新聞の広告や折り込みチラシなどを用いて「この新聞が言っているなら大丈夫」といった安心感を与えることが重要です。 またリハビリテーションなど、運動で自身の体調を整えるサービスも良いビジネスプランでしょう。 VR(バーチャル・リアリティ)などを使用した技術をリハビリに活用するなど、外出意欲を高めるのも高齢者向けビジネスとしての成功が期待できます。

参考文献:「都民を対象とした「健康食品」の摂取に係る調査結果報告書」

シニアの趣味に関連したサービス

シニア世代に向けたビジネスアイデアとして、「趣味」をテーマにしたサービスは有効です。

例えば園芸や手芸、歴史研究などシニア層が関心を持つテーマでオンラインワークショップや講義を開催するビジネスは、地域を超えた参加者を集められるでしょう。 またアクティブシニア層は旅行などのアクティブな行動にも興味があります。 シニアの体力や興味に合わせたゆったりしたスケジュールのツアーや、自然体験型のプログラムの提供もビジネスとして有益です。 これらは既存のサービスにプラスアルファを加えることで差別化が図れます。 それぞれの価値観を理解することで、高齢者の困りごとを解決するような効果的な商品・サービスの提供が可能となるでしょう。

シニア向けビジネス成功の秘訣とは?市場規模から各事例まで徹底解説 のまとめ

シニア向けビジネス成功の秘訣

出典:FreePik シニア層の興味関心を取り入れて、ビジネスの成功をつかもう(写真はイメージ) 本記事では、市場規模の拡大やシニア層の特性、成功事例をもとに、シニアビジネスの成功の秘訣を探ってきました。

シニア向けビジネスは、高齢化社会が進む中でますます注目される分野です。 シニア層のライフスタイルや価値観を理解し、健康や安心感を提供するサービスを提供することが、ビジネス成功への近道となります。 また、シニアマーケティングの戦略や新しい体験を提供するサービスの重要性も見逃せません。 シニア世代の笑顔と満足を創造するために、一歩一歩着実に進んでいきましょう。