マーケティングの基本としてクライアントのペルソナ設定は重要です。特に市場規模が大きいシニアマーケティングでは、適切なペルソナ戦略が不可欠であり、その失敗は大きなリスクを伴います。シニアといっても60歳から90歳以上まで、さらには100歳以上の人も8万人以上います。そのため、世代だけで分類するのは難しくしいです。
そのためこの記事では、シニア世代のペルソナ設定について細かく解説していきます
多種多様なシニア層のペルソナ構築のもくじ
<h2>シニアマーケティングにおいてペルソナが重要な理由</h2>
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100兆円とも言われる巨大なシニア市場において、なぜペルソナ設定が重要なのか?その理由について解説していきます。
シニア層はひとくくりにできない
シニアと言っても、年齢や健康状態、経済状況や居住環境など様々なライフスタイルが想定されます。また、それぞれの消費動向や趣味・嗜好が異なります。
そのため、ペルソナを設定する際にシニア層をひとくくりにして考えてしまうと思ったような効果を得られない可能性があるでしょう。
では具体的にどのような分類があるのか?次の項目で解説します。
シニア層の特徴と6つの分類
多種多様なシニアを年齢だけでなく、就業状況、健康状態、生活スタイルによって6つに分けられます。
- 現役層「まだまだ」シニア…仕事を続けているアクティブシニア。デジタルデバイスも使いこなし、オンラインコミュニティやSNSなどにも積極的に参加。経済的に安定。
- 引退層「これから」シニア…退職後、自分の時間を趣味や健康維持に費やすアクティブシニア層。これからの人生を豊かに暮らしたい、趣味など自分にお金を費やす。
- 活動的な「トレンド」シニア…インターネットなど新しい情報を得ることに積極的なアクティブシニア層。健康志向が高く、ITを幅広く活用する層。
- マイペースな「のんびり」シニア…デジタルデバイスやSNSの利用に消極的。これまでのライフスタイルを大きく変えることない暮らしを好むシニア層。地域内やこれまでの行動範囲から大きく出ることは少ない。
- 居宅介護層「おうち」シニア…在宅で介護や医療のケアを受けるシニア層。子供世帯と同居するケースも多い。身体的は要介護と認定されている。地域内や家族内など比較的小さなコミュニティでの生活が想定される。
- 施設介護層「しせつ」シニア…施設に入居して介護・医療のケアを受けるシニア層。身体的に要介護認定されている。施設内の入居者同士や介護スタッフ、医療スタッフとのコミュニケーションが中心。
このように、一口にシニアと言ってもそのペルソナは多様で、自社の高齢者向けサービスや商品がどの層に向けたものなのかを明確に設定する必要があります。
シニアマーケティングにおいて見落とされがちな詳細要因
先述したように、シニア層には6つの分類がありますが、以下の要因によっても細かく分類されます。 解像度高くペルソナを設定するためのいくつかの要因を解説します。
居住地域、交通手段
居住地域はペルソナを考える上でも大切な要素です。
都市部に住むシニアは公共交通機関が発達しており、タクシーなども容易に手配できるため、自身で行動することが可能です。
逆に地方に住むシニアは車社会で自身での運転が必要であったり、自身では難しい場合は家族など他社の助けが必要となります。また実際に店舗に足を運びやすい都市部の方よりも、地方のシニアの方が、通販やECショップの利用経験が多いと考えられます。
ケアラーかどうか
先述した通り、100歳以上の方は8万人以上います。
そのため、ケアを行う人が80代であることも少なくありません。
また、その子も60代以上のシニアである可能性もあります。
介護を担っている場合、シニアと言っても自分のためだけでなくケアする親世代に時間やお金を費やすこともあります。そうなるとハイシニア向けの商材をアクティブシニアに向けて広告展開するケースも考えられます。
子がいるか否
子がいるか、孫がいるかもペルソナ設定の要因の一つです。アクティブシニアの消費行動として、総務省の「全国消費実態調査」の交際費用を見ると30代女性のそれが収入に3%であるのに対し、70代女性は収入の12%と4倍の結果となっています。ここでいう交際費用は世帯外の人への贈答品、祝い金などのほか、接待費用などが含まれます。社会との繋がり、家族との繋がりに重きを置くアクティブシニアは他者への消費が多い点も特徴的と言えます。
このように、6つのペルソナを更に細かく設定することにより、効果的なマーケティングを行うことが可能となります。
参照記事:平成21年全国消費実態調査
高齢者向け市場の中で最も広告効果が期待できるアクティブシニア
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先述したように、シニア層には6つの分類と3つの詳細分類要因がありますが、その中でもアクティブシニアにアプローチするのが最も費用対効果が高いと言えます。 では、なぜアクティブシニアにアプローチすることが効果的なのか解説します。
消費活動に意欲的
アクティブシニアにアプローチすることが効果的な理由として、消費活動に積極的であるという点が挙げられます。
経済的に自立しており余裕があることが多く、定年後の余暇を楽しむために、旅行や趣味、エンターテイメントに積極的に投資するため、消費活動に積極的です。
健康に対する意識が高い
総務省統計の家計調査によると、フィットネスクラブなどのスポーツ施設利用料の支出金額は60歳代世帯が最も多く、最も少ない30歳代世代の約7倍にも上ります。
加えて、サプリメントなどの「健康保持用摂取品」の支出金額は70歳代が最も多くなっています。
このように、アクティブシニアは健康に対する意識が非常に強いです。
参照記事:総務省統計局「第4章 年齢階級別に見た暮らしの特徴」
趣味にも意欲的
暮らしを充実させるためにも趣味に意欲的で、積極的に消費するのもアクティブシニアの大きな特徴です。旅行や映画鑑賞、美術鑑賞などが特に人気の趣味で、それに付随する消費にも積極的です。
自身がケアラーである場合も少なくない
先に述べたように、高齢化が進み、親子で老老介護を行っているシニアも珍しくありません。70代の娘が90代の母親に身の回りの物を揃える時、価格、品質、安全性、デザインなどアクティブシニアならではの視点で選ぶ傾向が強く、その際にアプローチする広告の文言などにも工夫が必要です。
このように、健康や趣味に対して積極的であり、消費活動にも意欲的なため、アクティブシニアにアプローチすることが効果的なのです。更に自身がケアラーである場合は被介護者のための情報収集や消費にも繋がります。